春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第15章 少しだけ
「遼くん、あのね……っ」
胸が苦しい。
溢れだす想いが、止められない。
……伝えても、いい?
心の奥に、閉じ込めていた片想い。
私は
初めて貴方に逢った時から、ずっと……
「私、本当は……」
「春菜」
私の言葉を遮って
掴んだ右手を、ぐっと引き寄せられると
「………!!」
ふわっと広がった、煙草の香り。
……遼くんは
私のおでこに、そっと口づけをした。
「………っ」
一瞬で、頭が真っ白になる。
何が起きたのか、分からなくて、何も考えられない。
……すると……
「……おめでとう、のキス」
放心する私の頭の上から、優しい声が降ってきた。
「春菜がこの先、雪斗と幸せになるように
願いを込めて」
「………!」
「俺にとって、大切な2人が出逢えて良かった」
「………っ」
「……だから今のは
俺からの、ささやかな祝福」