春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
……大切な人を、亡くした者にしか分からない痛み。
ユキの言う、 “ 心の穴 ” は
きっと、遼くんにも……
「人間ってさ、自分のキャパが決まってるのかも」
「………?」
「生きていると、毎日新しい発見があって
色んな出会いを繰り返して、色んなことを学んでいくから
あれだけ沢山の思い出があるのに、だんだんと記憶から薄れていくような気がしてしまう」
「………!」
「そんなはずは、絶対に無いし
姉貴はいつまでも、皆の心の中で生き続けているんだけど
……時折、罪悪感でいっぱいになるんだよね」
視線を落としたユキが、自分の手のひらを見つめる。
「……心の穴を、埋めるには
姉貴に生き返ってもらうしか無い」
「………!!」
「本当の解決策は、それしか無いんだ。
一生叶えることはできないって、分かってるけど
……願わずには、いられない」