春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第2章 桜の木の下で
* * *
「……うぅ……き、気持ち悪……」
………2軒めに行くという、女友達から逃れるように
私は1人、駅までの夜道をふらふらと歩き始めた。
腕時計の針が、夜の10時になろうとしている。
3月最終日の今日は、春の気配が感じられるほど暖かくて
この時間でも、体にあたる夜風は心地良い。
……心地、良いんだけど……
「だ、だめだ……電車に乗る前に一休みしよう」
最後にあんな重い赤ワインを飲まされたせいだ。
大学時代のメンバーは私以外全員酒豪だから、いつもこうなってしまう。
学習能力の無い自分を恨みながら、歩道から逸れると
陽気な声が聞こえてくる公園に、足を踏み入れた。
───私、蓮見春菜(はすみ はるな)
今年27歳になる、独身アラサー女。
………この時点で、正常な意識は飛んでいたんだ。