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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第2章 桜の木の下で

中央に大きな芝生の広場と、立派な噴水があるこの公園は


大学のキャンパスから駅までの、ちょうど中間あたりに位置する場所で


学生時代に何度も来ていたから、休憩しやすいベンチのある場所もすぐに見つけることができた。



「……ていうか
なんでこんなにうるさいの~~……」



桜の木の下、空いていたベンチに傾れ込むように座ったはいいけど


それはもう、何十人っていう数の騒ぐ声が耳を突き抜ける。




………今日は、3月31日。


年度末。


明日から4月になるってだけで、特別な事はなにひとつとして無い平日。


だけど春休み真っ只中の学生達は、その有り余る時間とエネルギーを


もう10時になるこの時間まで、花見という宴会に費やしている。


ベンチのある遊歩道の先、芝生の広場。


ブルーシートを広げ、賑やかに楽しむ後輩達を見て、私は大きく溜息を漏らした。

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