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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第5章 誘ったのは、私です

彼の瞳をじっと見つめ返したまま、小さな声でそう告げると


ユキは、ふうっと溜息を漏らした。



「それ、聞いたよ」

「…………」

「 “ 遼くん ” って人でしょ」



……私、名前までしっかり口に出していたんだった……


会社の人にも、大学時代の友達にも


………もちろん、遼くん本人にも


誰にも言えない密かな恋心だったのに、どうして彼には話してしまったんだろう。


無論、ユキにとったら一体誰?って感じだけど……




「……その遼くんと春ちゃんの間に

未来はあるの?」


「…………!」




……えっ……?


突然聞かれたその質問にドキッとして、顔を上げると


ユキの右手が近付いてきて、私の髪をひと束手にとった。




「春ちゃんの想いが、いつか彼に届く日は来るんだよね?」


「…………っ」


「……春ちゃんの気持ち
彼は、いつか受け入れてくれるんだよね?」

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