春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第6章 先輩と後輩
「あ、いたいた春菜!」
コピー機から印刷物を持って、テーブルの上でホチキス止めをしてると
外出先から帰ってきたのか、沙月がバッグを持ったまま駆け寄ってきた。
「沙月、おかえり。
今日はどこに行って……」
「今夜金曜だけど、このあと空いてる!?」
「……え?」
「てゆーか付き合って!」
息切れをした沙月が、私の肩をガシッと掴む。
相当走ってきたみたいで、額に汗が滲んでいた。
「空いてるけど……どうしたの?」
「良かった~~!
春菜が来てくれるなら私も心が落ち着くわ」
胸に手を当てて、ホッとした様子で微笑む沙月。
店舗開発部の席を見てから、声のボリュームを落とすと
私の耳元で、こっそりと囁いた。
「実はさ。
今日、芹澤さんの送別会なんだよね」
「……芹澤さん?」
「そう、急遽参加してくれって言われちゃって。
1人は気が引けるから、春菜も一緒に来てほしいんだ」