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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第6章 先輩と後輩

……どういうことだろう?


芹澤さんの同期は本社だけでも何十人っているし、関東圏内の支社も合わせれば余裕で百を超える。


大手企業から去るという謎な退社だけど


6年も努めたのだから、同期なら最後に集まるべきだと思うんだけどなぁ。


そもそも、なんで辞める前にしてあげなかったのかしら。



「あまりにも、皆の予定が合わなかったとか?」



私が聞き返すと、沙月は気まずそうに首を振った。



「ううん、そうじゃなくて……」

「………?」

「その、つまり……」






「つまり。
早い話、嫌われてんだよ」




突然



私の後ろから、低い声が降ってきた。




「仕事はできても人望が無けりゃ、寂しい最後ってことだ」


「「…………!!」」




その言葉に驚いて、同時に振り返った沙月と私。


話に夢中で、すぐ後ろに立っていることに全く気付かなかった。




「りょ、遼くん……!!」


「か、加賀谷さん……!!」

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