テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第6章 先輩と後輩


「……蓮見。
名前で呼ぶなっつっただろうが」



ジロッと睨みつけられたけど、驚き過ぎて謝罪の言葉が出てこない。


同じく固まってる沙月を見て、遼くんはふっと笑うと


テーブルを挟んだ反対側のイスを引いて、私達の前に座った。



「お前もお人好しだな、綾瀬(あやせ)
放っておきゃいいのに」


「……か、加賀谷さん……」


「面倒な奴でもモト先輩である以上
無下には出来ないってか?」



綾瀬というのは、沙月の名字。


ダラダラと汗を流す私達を見て、遼くんは声に出して笑う。



「悪い悪い。
芹澤と同期の俺が言うなって話だよな」


「…………っ」



………そう。


入社7年目の、黄金世代。


遼くんや芹澤さんを始めとした、今年29歳の彼らが


うちの会社の景気を良くしていると言っても過言ではない程に


仕事はできるわ顔はイケてるわで


誰もが憧れる逸材が、これでもかと勢揃いしているのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ