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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第2章 桜の木の下で

その時



「…………」



………ふと、視線を感じて


後ろに倒したままの首を、右側に傾けた。



「…………?」



あれ?


景色が歪み始めたのは、気のせいかしら。


なぜか視界に靄がかかってるせいで、その姿をちゃんと捉えることが出来ないけど


右側に並べられたベンチに、誰か人が座っていて


多分だけど、その人も私を見ている気がする………



「………大丈夫、ですか?」


「…………!」



あ、喋った。

男の声だ。

大丈夫って、何が? 誰が?



「……首、ぐらぐらしてますよ」



え? 私の事?

あ~~分かった、あれでしょ。

酔っ払って意識が朦朧としてるとでも思ってるんでしょ?



「…………」



確かに酔ってるけど、私はそういう失態はしない女なんだ。

だから気にしないで大丈夫よ。


……というか……


ほんとにクラクラしてきたから、ちょっと放っておいてくれるかな。

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