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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第2章 桜の木の下で

「ねぇ、聞こえてないでしょ?」



失礼な、聞こえてるよ。


さっきからこうして質問に答えてるじゃない。


って私、ちゃんと声に出てるよね?


あれ、出てない……?



「……酒飲むと、本当にそんなグデグデになるんだな」

「………!」

「いい教訓になったよ」



ちょっと笑ったような声でそう言いながら


ベンチから立ち上がった彼が、私の前に近付いてくる気配。


ま、まずい……


よく分からないけど、危ない状況だよね?


でも


体が、動かない……



「……か、帰ります……」



やっと声が出たって、自分でも分かって


急いで立ち上がった、次の瞬間




「…………!」

「……あぶな……っ」




足に力が入らなくて、重力に逆らえなくて


崩れ落ちる私の体を


直前で彼が受け止めた。


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