春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第6章 先輩と後輩
「すみません、加賀谷さん。
今の話、聞いてましたよね……」
遼くんを目の前にして、沙月は恐縮しながら手を合わせたけど
仕事上、普段から係わりのある仲の良い2人だから、空気は和やかだ。
「どうせ宮本から頼まれたんだろ?
つまんねぇからお前も来いってな感じで」
「………!///」
「あいつここ最近、性格に似合わず律儀なんだよな~。
前だったら会社関係の行事なんて一切出なかったくせに」
「あ、あはは……そうですかねぇ……」
楽しげにニヤニヤする遼くんとは対照的に、沙月の顔がみるみる赤く染まっていく。
「…………?」
宮本って……営業一課の宮本さんのこと?
名前の出た彼もまた、遼くんと芹澤さんと同期の1人で
営業部の絶対的なエースであり、おそらく会社で1番のモテ男だ。
………沙月がこんなに照れる姿を初めて見るし
そもそも部署の違う宮本さんが、沙月を誘うって………
……こ、これは
も、もしかして……!?