春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第7章 眠れない夜に、温もりを
……私とは比べ物にならないくらい、忙しくてキツイ仕事ばかりしている沙月。
それでも、弱音や文句ひとつ言わない彼女は、男勝りですごくカッコイイ。
みんなの憧れである、強くて絶対に泣かない沙月が
……私の為に、目に涙を溜めている。
「……ふふ、沙月ってば」
やだな、貰い泣きしちゃいそうだ。
何も知らないはずの沙月が、どうしてそんなことを言うのか分からないけど
きっと本心から伝えてくれた言葉だから、じんわりと心に響き渡る。
「ありがとう、私も沙月が大好きだよ」
「……春菜……」
「……遼くんには、具合悪いって言わないでね。
じゃあなんで飲むんだって、また怒られちゃうから」
私がそう言うと、沙月は表情を歪ませたけど
もう一度手を振ったら、小さく頷いて
宮本さんに言われた通り、元来た道を戻っていった。