アタシとアイツ【短編集】
第5章 第5章 映画館 *リクエスト
そして翌日
「あー!見たかったんだよねコレ!」
開場5分前の映画館内で私はチケットを見つめ、目を輝かせた。
「本当、お前はお姫様かよ。」
横では私の手荷物とポップコーンとジュースで両手を塞がれた彼、ユウが呆れたようにため息を着く。
「私がお姫様ならユウは家来だね。」
「そうだね…て、言うとでも思ってんのかお前は…!!」
「あ、もう会場だ!
行こ行こー!!」
私は唇を噛みしめる彼を横目に、そそくさとその場を後にした。
「くそー、後で覚えてろよ…。」
だから気が付かなかった。
先を行く私の背を見つめ、呟かれたユウの言葉に…。