アタシとアイツ【短編集】
第5章 第5章 映画館 *リクエスト
しばらくしてユウの唇がゆっくりと離れた。
きっと数秒だっただろう。
しかし私にはとても長い時間に感じた。
「満足した?」
そう微笑むユウに控えめに頷く。
顔が熱い。
私は熱を冷ますように頬に手を置く。
そんな私を見てユウは微笑した。
「ふーん。
俺は満足してないんだけど。」
その言葉と同時に半ば強制的に唇を奪われる。
私は初め驚いて抵抗したが、部活で鍛えているユウの力に勝てるはずもない。
キスは徐々に激しさを増す。
「…ん」
思わず声が漏れた時、唇が解放された。
「ちょっと!!」
私は睨むようにユウを見る。
そんな私の視線を面白がるように、ユウは微笑した。
「もっかいしよっか。」