アタシとアイツ【短編集】
第5章 第5章 映画館 *リクエスト
顎を持ちユウの方へ強制的に向かされる。
「何でも、ないってば。」
「嘘着くなよ。
顔、赤いぞ?」
「暗くて見えないでしょ?」
「見えるよ。」
意地っ張りは許さない。
ユウの目はそう言っているように見える。
「言ってみ?」
目を見てそう言われ、私は目を反らすことも出来ず、ただただ顔が熱くなるばかり。
“早く”
ユウの目が私を急かす。
「キ、キスしてほしい。」
勇気を振り絞ってそう言うと、ユウはよく出来ましたと言わんばかりに優しく微笑んで、支えていた顎を少し上げ、優しくキスをした。