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only one【完】

第3章 俺様

「晶。高木さんに何かしたのかよ」




バイトが終わって休憩室に行くと、五郎が呆れたように笑いながら、私に聞いてきた。




「私が聞きたいよ…」




ため息混じりに答えて、近くにあるイスに座った。



その前に五郎が座り、私の頭をクシャクシャってして




「気晴らしに飲みに行くかぁ!」



私は五郎をチラッと見て「奢ってくれるなら」と笑って見せた。




「分かったよ…早く着替えて来いよ」



「ラッキー!すぐだから待っててね」




そう言う私に「はい!はい!」と手をヒラヒラさせて、五郎はタバコを吸い出した。









五郎はいつも優しい。
私を気遣ってくれているのが分かる。


隆史と付き合っている時に告白されてから、五郎は何も言ってこない。









でも…









自惚れかもしれないけど、多分まだ私を好きだと思う。




彼女が途切れたことがない五郎が、あれから彼女を作らない。




合コン三昧だった五郎が、合コンに全く行っていない。








だからと言って、私は何も聞かない…――







私はズルイから何も聞けない…――



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