
言葉で聞かせて
第7章 過去
僕の様子をじっと見ていた敦史はまた溜息をつく
「余計なこと考えてんだろ」
「余計なこと、って……」
敦史は食卓にどかっ、と座ると横に置いてあった漬物を摘んだ
「あれかもしれねぇこれかもしれねぇって、考えてんだろ?」
「……」
「ほら、な」
考えてることが見透かされてるっていうのはこういう時少しだけ嫌だよね
「余計なことかな。僕は必要なことだと思うけど」
敦史は僕の目を見透かすように見つめた
そして鼻で息を吐くと用意されたご飯を無言で食べ始めた
じゃあ
どうすればいいの
僕の疑問は口から出ることはなく、飲み込まれた
心配はするけどそれが行動には出ない
その場の突発的な行動は取れなくて、じっくり考えてからにしてしまう
それは僕の性癖が原因でもあった
人に執着するな
相手の気分は出来るだけ害するな
だから、相手からしたら物足りないのかもしれない
でもだめなんだ
僕のこれは絶対に人を傷つける
それに最後に傷つくのは
僕だから
千秋さんのことも、心配はする
田中さんから連絡が来た時も出来る限り見つけようとした
でも
一度拒絶されたら、もうだめ
どうしたらいいかわからなくなっちゃった
