言葉で聞かせて
第7章 過去
寝巻きに着替えて、ベッドの僕の横に寝転んだ千秋さんは小さくて細くて
まるで女性みたいだ
なんて失礼なことを考えてしまった
『狭くないですか?』
「大丈夫ですよ」
微笑みかけてから千秋さんの肩まで布団を引っ張り上げる
向かい合った形なんて想像以上に恥ずかしくて、いっそ仰向けに身体を動かそうかなんて思っていると千秋さんが僕の腕をちょん、とつついた
「なんでしょう?」
千秋さんはもじもじと僕との隙間を見つめている
そして
「!」
僕の腕の中にするりと入ってきた
その千秋さんの予想外の行動に柄にもなく慌ててしまう
うわ、うわ
どうしよ
ってやばい
顔、にやけてないかな
僕が必死に動揺を押し隠していると、腕の中の千秋さんは僕を見つめてにこ、と照れ臭そうに微笑んだ
「両思いなんだからいいでしょう?」と言われたような気がして僕は唾を飲み込む
そうだ
僕たちは一応……りょ、両思い?なわけで
あぁなんか
実感湧いてきた
幸せ
僕はそっと千秋さんの背中に腕を回す
すると千秋さんはもっと僕に身体を寄せて胸元に顔を触れさせた
このまま朝が来なければいいのに
1人幸せを噛み締めながら
僕達の長い1日はようやく幕を下ろした