
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
「遠慮しないでー」と内藤は店に入って行ってしまう
俺たちはとにかく急ぎ足で先に行ってしまった内藤と悠史を追って入店した
すると入り口でえらく高そうなスーツを着た男が俺たちを迎えた
「いらっしゃいませ、内藤様。お待ちしておりました」
「うん。こんな時間にごめんね」
「いえ、内藤様でしたらいつでもどうぞ」
おいおいこの会話
一体何者なんだよこいつは
つーか、この男
名札に支配人って
「こちらへどうぞ」
「うん。……?何してんの?ほら、行くよ?」
「あ、あぁ」
「うん」
案内された席は他の席が普通の飲食店のようなテーブル形式だったのに対し、個室だった
椅子も他の部屋と違ってやたら豪華だ
どこから出てきたのか店のスタッフが俺たちの座る椅子を引き、座らせてくれる
さぞ高かろうと思いながらメニューを開くと、そこには値段が書いてなかった
高い店にはよくあることなんだが大抵支払いのある男には値段の書いてあるものが渡される
「おい、俺のメニューはこれでいいのか?」
「ん?あ、いいのいいの。僕の奢りだから」
「えっ、いいんですか?」
そう聞いたのは流
内藤はへらへら笑いながら言い切った
「聖夜さんや流星さんならまだしも大して稼げない流くんにここのお金が払えるとは思えないからね〜」
