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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


「これとこれとーーあとは?」
「あー……俺これ食いたい」
「じゃあそれも」


店員を呼びつけた内藤が悠史と相談して決めた料理を適当に注文すると、割とすぐに料理が出てきた


「はや……」


俺の呟きに内藤は首を傾げながら


「普通こんなもんでしょ?」


と言う


「これ以上時間かかったらこの店二度と来ないかも?あははっ」


朗らかに笑った内藤を見て、部屋の様子見に来ていた支配人の顔が引きつった


こんな夜中に店開けてもらっといてそれかよ
こえー


料理と一緒に運ばれてきた飲み物が注がれるのを待っていると「あ……」と悠史が声を漏らした


「どうした?悠史」
「これ、僕が好きなワインなんです」
「へぇ……あぁ。確かに昔よく飲んでたな、これ」
「最近日本で販売出来なくなってしまったと聞いていたのですが……」


悠史の驚いた顔を見て自慢気に胸を張ったのはその隣の内藤


「えへへ……悠史さんが好きなワインは調査済みなんだ!特別に取り寄せてもらったの」
「え!?楓くんが!?」
「うん」


「ありがとうございます」と微笑んだ悠史に内藤は顔を赤くして嬉しそうに俯いた


そういうことか

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