言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
悠史のため、とは言ったもののワインも飯も三ツ星なんで当然どれも美味くて箸は進む
「あ、これ美味しい」
「それ俺も好きだわ」
「聖夜さん!これ僕のお勧めなんです」
「……あ、美味しい」
「でしょ!?」
途中会話が完全に二つに分かれてしまい、流も何も気にせずに俺に映画の話をしてきた
悠史と内藤は……さっきまでワインの話してたと思ったら今度は……ドラマ?いや、小説か
上手いな内藤
悠史の好みは本当に全部リサーチ済みらしい
散々食って飲んで
もう何も腹に入らなくなったところで「そろそろ出るか」と切り出したのは俺
しかしそれに「そうですね」と同意したのは悠史だけだった
他の二人から返事が返ってこないことに違和感を覚え様子を伺うと、二人は何故か突然不機嫌になっていた
「?」
「どうかされましたか?」
これまで良い雰囲気で飯食ってたのに最後に上機嫌で終われねえのかよ
内心舌打ちしながら悠史の質問に対する答えを待っていると二人が出した答えは
「「まだ帰りたくない……」」
というなんとも子供くせぇものだった
「は?」
「僕、もう少し聖夜さんと話したいー!」
「ぼ、僕も!流星さんとお話ししたいです!」
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