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言葉で聞かせて

第10章 再来


女は心底ショックを受けた様子で


「そ……んな……」


と千秋を振り返った


「せっかく声5年ぶりに声が出るようになったというのに、貴方が現れてまた声を失ってしまいました……!!」


悠史の肩が震えてる
泣いてんのか


俺は悠史に近づいて肩をさすって慰めてやった


「おい」


千秋を見ていた女は俺たちを振り返る


「お前はどうして俺たちに近づいた?」
「……そんなの決まってるじゃない……ちーちゃんとずっと一緒にいるあんた達が憎かったからよ。あたしだけのちーちゃんだったのに……あたしだけに、助けを求めてくれてたのに……」


俺たちを睨みつける眼光は鋭く、本当に憎しみの篭ったものに見えた


「へぇ。お前だけの、ね」
「……何……」
「脅して金強奪して他の男に抱かせてボロボロになった千秋ならお前を好きになってくれると思ったのか?」
「!!だって!!そうしないと私のことなんて見てもくれないでしょ!?」


俺はこれ見よがしにため息をついた


「千秋は……そんなことしなくてもお前のことを好きだったよ……お前が、そういうことをし始めるまでは……」


目を見開いて口も開いたまま女は再び千秋を振り返る

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