言葉で聞かせて
第11章 記憶
敦史はそう言うと千秋さんが動く前に手早く引き寄せ口付けた
ちょっと怒ってたのはやっぱり嫉妬か
僕も今見ていて、もやもやするし仕方ないよね
離れて悪戯っ子のする表情をした敦史は自分の唇を舌で舐めた
口元に手を当てて驚いている千秋さんはこっちが照れてしまうくらい初心な反応をする
「千秋さん、僕とも……ーー」
「ーー千秋」
それからスイッチの入った僕たちは千秋さんと交代でキスをし続ける
ちゅ、ちゅ、と音の響く中少しずつ一人の時間が長引いていく
唇を食んで、舐めて、吸い付いて
それが終わったのは千秋さんの体から完全に力が抜けた頃だった
くったり机に寄りかかる千秋さんは真っ赤な顔で『僕ばっかり、ずるいです』と書いた
「ん?ふふっ、ズルいですか?」
「仕方ねえだろ。お前一人受けだったんだからよ」
すると、敦史の言葉に千秋さんがぴく、と反応する
多分敦史はきっと気づいてないけど僕は何でか一瞬でその意味がわかってしまった
「ーーそんなことないよ、敦史。敦史だってほら……」
「!?」
僕は仕事で女性にするように敦史を引き寄せてその唇にキスをした
それも、千秋さんにしたような遠慮したものじゃない本気のキスを