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言葉で聞かせて

第11章 記憶


僕は隣に座る千秋さんの頬に手を添えた
見つめた先の唇は震えている

徐々に近づく顔を千秋さんは拒絶しない


時計の針が動く音が聞こえるほどの静寂の中、ゆっくりと僕と千秋さんの唇が重なった


久しぶりに味わったその感触が僕の脳をじん、と痺れさせる
そこで生まれた熱が下半身にも伝わった


ちょっと、やばいかな
僕も落ち着いていられない


千秋さんはまだ固まったまま


かわいい


僕が頭をするりと撫でると突然後ろから


「何してんだ」


と声をかけられた

声が出るかと思うほどびっくりしたけれど、何とか抑えて振り返る


「敦史……」
「千秋は記憶ねぇんだろ。なんでキスしてんだよ?」


敦史は怒った様子で僕たちのところまで歩いてきて、僕を睨みつけた

その様子に千秋さんが慌ててペンを手に取る


『違うんです。僕が 』
「千秋が……?」
「僕たちは千秋さんが記憶があるときキスやその先もしていたのか、と質問されたんです」


自分のしてしまった恥ずかしい質問をそのまま敦史に伝えられて千秋さんは恥ずかしそうに俯く

けれど敦史がそれを許さずに千秋さんの顎を引き上げた


「……なら、俺ともするべきだよな」
「!」

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