言葉で聞かせて
第11章 記憶
結局どれぐらい、とはわからないけど長い時間抱き合っていた僕たちは二人からのキス合戦の激化を止めると共に離れた
全員分のお茶を淹れて居間のソファに腰掛けると、「千秋さんのことをお話しする前に」と悠史さんが前置きして
「どこまで記憶が残っていますか?」
と聞いてきた
「ぇ、と……車が側まで迫ってきて……危ない、と思ったのが最後です……」
僕の返事に敦史さんは「そんなに前かよ」とぼやいている
そんなに前、かな
でもさっきメールとかで確認した日付と合わせると確かに結構前といえば前なんだよね
「ごめんなさい……」
思わず謝罪の言葉を口にすると、悠史さんが敦史さんの頭をぽこっと叩いた
「いてっ」
「馬鹿敦史。謝りなさい」
「あぁ?」
反抗的な目線を悠史さんに向けた敦史さんだけど、それを華麗に無視した悠史さんが僕に向き直る
そして
「千秋さん、僕たちこそ貴方に謝らなければいけません」
そう言うと悠史さんはテーブルに手をついて深々と頭を下げた
え!?
どうして!?
「そんな……!頭を上げて下さい!」
僕が焦って悠史さんの頭を上げさせると、悠史さんはここ数日にあったことを話してくれた