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言葉で聞かせて

第11章 記憶


悠史さんが話してくれたのは、あの日結局僕は事故に遭ってしまったことや、その後記憶障害が起こって5年間の記憶をなくしていたこと

そしてその間に、真菜さんたちのことを解決したことだった

詳しくは話してくれなかったけど、話しているときに拳を握っていた二人の様子からして、何もなかったわけじゃないんだろうな


それでも浮かんできた涙を2人のために流すまいと頑張る


だって



何も覚えてない僕が泣いたって
だめだ


僕が俯いてしまったから、悠史さんは心配して側に来て背中をさすってくれた


「ごめんなさい……なんにも覚えていなくて……僕、なんにも出来なくて……ごめんなさい……」


ひたすら、謝ることしかできない


「謝るな。何度も言っただろうが。お前は悪くない」
「そうですよ、千秋さん。あの人達が僕たちに危害を加えようとしているのを千秋さんが犠牲になってくれたんですよね?ごめんなさい。僕たちがもっと頼りになればこんなことには……」


悲しそうに笑う悠史さんを見て、心臓が針で刺されたみたく痛んだ


きっと手紙を見たんだろう

朝部屋に入った時僕が見たことのない手紙があったから
それを

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