言葉で聞かせて
第11章 記憶
「許さねぇよ、千秋。俺に隠し事すんのも、頼らねえのも全部」
「僕は貴方を独占したい。過去も、今も未来も、全て」
「離れるなんて許さねぇ。俺以外の誰かに傷つけられることも」
「だから千秋さん安心してください。例えあなたが僕を殺したって、僕は貴方を愛していますよ」
強い瞳に見据えられて言葉の意味を理解するのに時間がかかった
隠し事も、頼らないのも、傷つけられるのも許さない
殺したって愛してる
二人の言葉が頭の中をぐるぐる回って
それで
「あ……りがと……ござ、います……」
今度口から出たのは謝罪じゃなくて感謝の言葉だった
二人が安心したように優しく笑う
「こんな僕を好きになってくれてありがとうございます……僕、何があっても二人から離れません……」
自分で押しのけた彼らに自分から抱きついた
すぐに二人も腕を回してくれて、また三人で抱き合う形になる
「千秋さん……」
「はい?」
「良かったです……またこうして、抱きしめることが出来て」
「……っ」
あぁ、幸せ
ここにいることが出来て
さっきまで世界で一番不幸だと思ってたのに、今はもう世界で一番幸せ
「……はい……僕もです……っ」
そして二人は優しく僕にキスを落とした
「おかえり千秋」
「おかえりなさい、千秋さん」
「……ただいまっ」