テキストサイズ

言葉で聞かせて

第11章 記憶


その剣幕に謝罪の言葉が口をついて出る
すると二人は余計に怒ったみたいだった


なんで?


びっくりして収まっていた涙が滲むと、目元を乱暴に拭われる

ちょっとだけ痛いようなそれは、敦史さん

悠史さんは僕の肩に鼻を擦り寄せるみたいに顔を埋めてきた

敦史さんも一足遅れて僕に抱きついてくる


え?え?
どうして……?

怒ってたんじゃ


ますます意味がわからない、と首を傾げていると


「許しませんよ、千秋さん。僕たちを頼ってくれなかったこと」
「!ご、ごめんなさーー」


また僕が謝罪しようとすると遮るように敦史さんが僕の口を塞いだ


「ん……っぅ、ふ……」


驚いて開いてしまった口から舌が侵入してきて歯列をなぞられる

腰の奥がじん、と痺れるような感覚

怒られている状況で気持ちよくなるなんて浅ましい


どうして、キスなんて


「ふ、ぅん……んん……っは、はぁ、ぁ……ん……」


離れたと思ったら今度は悠史さんに口を塞がれる


やめて


そんな
二人に思って貰えるような人間じゃな……っ


「ゃ……っ!!!」
「「!」」


気がついたら僕は自分にのしかかっていた二人を手で突き放していた

でも僕の力なんて弱くて、二人はすぐに僕の腕を振り払う

そしていつもよりずっと低い声で脅すみたいに敦史さんが話し始めた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ