言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
が、しかし
今まで特殊な性癖を抱えた客に数々の変態プレイを強要されたりもしてきたが、別にそれを恥ずかしいなんて思ったことはない
ま、そういう事やって欲しい奴は恥ずかしがって欲しいんだろうけどな
縛られようが縛ろうが
別に何とも思わねぇわ
相手が千秋なら別だけどな
「はっ、目の前でキスされただけで恥ずかしくなるとか、初心だなー」
からかって笑うと、千秋は「やめてくださいー……」と縮こまる
おもしれ
それをおかずに飯を食っていると悠史が千秋の頭を撫でる
「あまり気にしないでください。誰だって初めては緊張するものですよ」
「悠史さん……」
「顔が真っ赤ですね。可愛い」
悠史は千秋の顔にキスを落とした
内心面白がってるくせに
お前だって仕事で色んなことやらされてんだろ
客から情報は回ってきてんだ
顔が似ていて性格が真逆なんて面白い人間がいるからか、俺たちを交互に指名して楽しむ客も少なくない
両方に同じプレイをさせて反応の違いを楽しんだり、なんてのは日常茶飯事
血の繋がりだけでなくとも兄弟とか
笑えねぇ
自分たちの境遇が奇妙すぎて、オーナー達にも最初すげぇ色んなこと聞かれたっけ