言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
何でお前らはホストなんかやりてぇんだ
軽い気持ちでホストなんかやろうとすんじゃねぇ
大卒なんだからまともな就職先探せ
と親かとツッコミを入れたくなるほど散々面接の時に根掘り葉掘り事情を聞き出され
他人に言いたくもねぇ自分たちのことを話してようやく頷いたんだっけな
しかもあんなに反対してた割には結局はオーナー俺がお前らを面倒見てやるとか言い出しやがって
おもしれぇ人だよな
昔のことを思い出して笑っていると悠史に変な目で見られた
「なんだよ?」
「1人で笑ってるとか、気持ち悪いよ敦史」
「うっせ」
「変な敦史ですね」と子供に言い伝えるよう悠史は千秋に同意を求める
しかしきょとんとしていた千秋は微笑んで
「そんなに楽しいことなら僕も知りたいです」
なんて言った
変な奴
「ははっ」
思わず笑い声を漏らした俺は千秋に手招きする
悠史の側から俺の側へと歩いてきた千秋を引き寄せ、耳元で
「次はどうやってお前をベッドの上で泣かそうかって考えてたんだよ」
と囁いた
「……っ」
収まっていた顔の赤さを復活させた千秋はすげぇ速さで俺から離れる
それを見て俺と悠史は二人で笑い声をあげた