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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


あの女、ってのが自分たちの姉のことだってことは千秋もわかったんだろう
苦笑いしている


アタリか


「別にいつ来ても構わねぇよ。お前のお陰で家はいつも綺麗だしな」


俺が褒める意味と労う意味で千秋の頭を撫でると千秋は嬉しそうに目を細めた


にしても何のために来たんだろうな?



家に着くと丁度トイレから悠史が出てきたところだった


「おかえり」
「あぁ。身体は?」
「ん……熱は朝よりは下がったかな。ダルさは殆どないし」
「そうか」


俺が悠史の額に手を当てると、確かに熱は下がってるみたいだ

隣で「良かった……」と呟いた千秋が悠史に買ってきたものを伝えて食べたいものをリサーチし始める

俺はその間に一旦床に置いていた買い物袋をキッチンに運ぼうとして、止まった


「あぁ、そうだ悠史」
「なに?」
「姉貴がもうすぐ家に来るそうだ」
「えっ!?いつ?」
「あと……10分かかんねぇぐらい?」
「また急に……」


誰でもそう思うよな


「あいつのことだからしょうがねぇよ」


俺の言葉に悠史は苦笑い


「だね」


3人が3人とも諦めてるのか
あいつの性格ちょっとは改善されねぇかな

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