言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
「ほら、そっちの荷物もかせ。帰るぞ」
千秋がビニール袋に詰めたものも手から奪って歩き出すと千秋は俺より小さい歩幅でついてきた
来た道と同じ道を車で帰っていると千秋の携帯電話が鳴った
電話だ
「電話出てもいいですか?」
「あぁ」
俺は流していた音楽を止める
「もしもしーー久しぶりーーうん、うんーーーえ!?そんな急に!?……あ、そう……なんだーー」
電話の話し相手が誰かは全くわからないが、随分親しい相手らしい
それに相手の起こした突発的な行動に千秋が困っている?
「わかったーーうん。伝えとくーーうん。ばいばい」
千秋が電話を切り、俺に「ありがとうございました」と言った
「いや。何かあったのか?」
「あ……あの、今の電話兄からだったんですけど……」
博秋さん?久しぶりだな
そりゃ親しげなわけだ
「へぇ。それで?」
「あの……もうすぐ僕達のマンションに着くから、って……」
「あ?今日?」
「はい。あの……30分とかからずに着くみたいです……」
そんな急に、ってのはこれのことか
「すみません……」
「なんで千秋が謝るんだよ。それに多分博秋さんも悪くねぇよ。あのクソ女がごり押したんだろ多分」
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