
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
「はい」と悠史が返事をすると、リビングで話していたはずの「賑やか」な奴らがぞろぞろ入ってきた
「悠史、久ぶりね。具合はどう?」
「久しぶり、姉さん。朝よりは大分良くなったよ」
「そう」
俺がやった時と同じように悠史の額に手を当てた姉が「うん。この調子ならすぐ治りそうね」と呟く
「風邪引いてる人間に言ってもしょうがないんだけど、元気そうで安心したわ」
「へぇ?千秋の様子見、とか言ってたクセに俺たちの心配もしてくれてたのか?」
俺が茶化すと後ろから悠史、前から姉に頭を叩かれる
「こら敦史」
「うっさいわよこの愚弟」
おい、女のクセにお前のが力が強えってのはどういうことだよ
悠史に叩かれたところは痛くも痒くも無いのに対して姉に叩かれたところは断続的な痛みが残っている
痛ぇな……クソ女……
俺が額を摩っていると、それを見て小さく笑いを零していた博秋さんが「仲が良いね」と言った
「まぁね?」
「あ?こいつと俺らが?そんなわけないじゃないですか。完全に主従関係ですよ」
「また殴られたいの?」
同意した姉に、反抗する俺
そのやり取りに千秋も博秋さんも笑っていた
