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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


『ーーし!!ーーつし!!!………敦史!!!』
『………ゆ、し……』


悠史が俺の身体を揺さぶっている


頭、いってぇ


『敦史!?大丈夫!?』


うっすらと目を開けて周りを確認すると、男達は既にそこにはいなかった


『敦史……』


俺の顔を覗き込んだ悠史の目は涙に濡れている


なんでこいつ、俺のために泣けんのかな


『悠史…………ごめ、ん……ごめん……』


俺の目からも涙が溢れていて、その涙を悠史が拭ってくれた


『敦史……』
『ごめん……ご、めん……』


夕暮れ
校舎裏
グラウンドから部活動をする奴らの声が聞こえる中、俺はひたすら悠史に謝り続けた
悠史はそんな俺を泣きながら見ていたが、その顔は微笑んでいたようにも見える


もしかしたら、悠史はわかってたのかもしれない
俺がいつか自分のしたことが悪いことだと気がつくってことに

もしくは信じていただけかもな
俺と同じでこいつも馬鹿だから



『悠史……ごめん……』
『いいよ、敦史』
『ごめん……」



こうして俺と悠史はただの兄弟と違った強い繋がりを持った



「それが今でもこうして俺と悠史が同じ家で暮らす理由だ」

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