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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


気がつけば千秋はボロボロ涙を流していて、服の袖でそれを拭っていた


あーあ……やっぱりちょっとキツかったか
ま、兄弟でセックスしてたとか誰が聞いてもエグいよな


どう声をかければいいのかわからず、とりあえず落ち着くようにと頭を撫でる

溢れる涙を拭いながらも千秋は喋ろうとした


「ぼ、く……っ……ふたりのこと……ぜんぜ、わかってな……っく……」
「……そんなことはどうでもいんだよ。誰にだって人に言えないことぐらいあるだろ?隠し事なんかいちいち気にしてたら人と付き合っていけねぇよ」
「……っう……ぅ……っ」


千秋が泣きじゃくる中、その場に通る声で悠史が言った


「千秋さん、追い打ちをかけるようで申し訳ないのですが、僕の話も聞いていただけますか?」


真剣な顔
本当に言うつもりなんだな


千秋はしっかりと頷いて「聞かせてください」と途切れ途切れになりながら言った

一瞬だけいつもの笑顔を見せた悠史はゆっくりと話し出した



「……敦史の話には続きがあるんです。敦史との関係が終わった後
僕は同級生の女の子と交際していました」


悠史の話をちゃんと聞こうと姿勢を整えた千秋が悠史を見つめる

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