言葉で聞かせて
第4章 飲み過ぎ注意
飯を作る時メニューを考えるのは大抵悠史の仕事だ
「じゃあ……これと、これ……あとあれ作ろうか」
「あぁ」
これとかあれとか適当な言葉で通じるのは無論俺たちだから出来ることだ
これぐらい目を合わせなくてもわかる
俺も悠史もそれぞれ手を動かしていると、リビングでは伊勢さんが千秋を質問責めにしていた
「え?喋れないの?筆談?そんなん初めてだわー」
他愛のない話題をガンガン広げて行くのは流石ホストとも言える技だ
なんだか千秋も楽し気に見える
暫くそのまま放っておいて、もうすぐ朝飯が出来上がると言う時になって話題は何故か女の話になっていた
「千秋ちゃん彼女いる?てかいたことある?へーそうなんだ。え?なになに?乗り気じゃない感じ?別れた理由が言いにくいとか?」
微妙に気になる際どい質問の答えが筆談であるため俺たちにはわからず、俺も悠史もヤキモキする
くそ……
彼女?そんなん聞いたことねぇよ
なんて答えたんだ?
気になる……
それでも気にしてない風を装いたくてそちらには目もくれずに作業を続けていると、伊勢さんがとんでもない行動に出た
「SEXの失敗かな?俺が教えてあげるよ」