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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


「!?」


妖艶に微笑んだ千秋に俺が動揺していると悠史が浴室のドアを開けた


「?何してるの?敦史顔真っ赤だけど……」
「赤くねぇよ!千秋が髪乾かしてぇって!早く座れ!」


くそっ
笑ってんじゃねぇよ悠史!!


「じゃあ、お願いします千秋さん」
「はい!任せてください!」


悠史が俺に代わって椅子に座り、千秋がドライヤーに手をかけたのを見て俺はキッチンに向かった


冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶をコップに注がずにそのまま飲む

口の端から溢れたお茶が喉を伝って流れた

首にかけていたタオルで拭きながら一息つくと、どっと眠気が襲ってくる


あーーー眠い……


俺はまだ髪を乾かしている千秋と悠史に声をかけた


「悪いけど俺先に寝るわ」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ、敦史」
「あぁ」


自分の部屋のベッドに勢いよく横になると、身体が溶けていくような感覚に襲われる


なんか色んなことあったな
今日

千秋が俺たちと過去を共有することになったってのは後にも先にもデカいような気がする

とか言って明日から千秋の態度突然変わってたりしてな
ないと思うけど


密かにはは、と笑って


今後もこの関係が変わらなけりゃいい、とか思いながら眠りについた

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