言葉で聞かせて
第5章 再発
その言葉に僕は胸を撫で下ろした
嫌がる人もいる、か
本当に気をつけないとな
「ありがとうございます」
僕は囁きながらまた彼女の額にキスをする
「…………ん……」
かくん、と眠りに落ちたのを見届けてから僕も目を瞑る
千秋さん……
どうしようかな
今後こういうことがあって、こんなに軽く済むなんてことないかもしれない
気をつけてればいいって問題でもないし
それに、万が一千秋さんの前で我慢の限界が来て……ってことも十分あり得るんだ
距離、置こうかな
今までみたいに仕事漬けで
それが一番いい
千秋さんの仕事の邪魔にもならないし
お店に迷惑もかけない
また千秋さんが倒れないように、陰から見守ってればいい
キツいけどそれしかないか
次の日から僕は千秋さんに出会う前、いやそれよりもっと仕事漬けの毎日を送るようになった
朝早くに帰ってきて夕方に起きる
それから出勤して仕事して朝方に帰宅する
何も考えなくて良かったし
何より憎いあいつが影も見せなくて楽だった
全体的に僕の精神は安定していた
ただ、たまに見る千秋さんの心配そうな顔を見たとき以外は