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言葉で聞かせて

第5章 再発

割と短気な俺だが、人にここまでブチ切れたりすることは珍しい

それをわかっているからか、悠史は目を見開いている


「そんな小せえ気持ちならわざわざ口に出すな!!」


小せえ気持ち、と言われたことに頭が来たのか
もしくは怒られたことをようやく頭が処理したのか、悠史もきっ、と目を釣り上げた


「仕方ないだろ!!!僕は、この病気と一生付き合っていかなきゃいけないんだぞ!?それを千秋さんに強いるなんてことできるわけない!!!それなら離れた方がいいに決まってる!!」


決まってる

なんてそんなことあるわけねぇだろ!!!


「決めるのは千秋だ!!!お前が勝手に決めるもんじゃねぇよ!!!でもお前がそういうなら勝手にしろ!!!はなから諦めてるようなクズに、千秋は渡さねえぞ!!!」
「!!!」


悠史は目を見開いた


くそが

兄弟揃って恋敵、なんて最悪だ
本当なら蹴落としてやりたい

けど20年以上隣にいるんだから、こいつのことは嫌っていうほどわかってるんだ


こいつは見た目がいいだけじゃなくて、中身もやさしい良い奴なんだよ
本当に
幸せになってもらいたいんだよ

でも千秋のこと俺だって簡単に諦められるわけないから


だからせめて
正々堂々戦いたいんだ

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