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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


優しく笑う2人に、僕は焦る


だって、だって
僕のせいで……っ
仕事、なくちゃ困るのに

2人を束縛したいわけじゃ、ないのに


「…………」


なんて言えばいいのかわからなくて俯いた僕が思っていることを2人は全部理解してくれたみたいで、くしゃくしゃと髪をかき混ぜるように頭を撫でられた


「千秋さんのせいじゃありませんよ。僕達が、そうしたかったんです」
「でも……」
「在宅で出来る仕事をちゃんと見つけてありますから、収入も特に問題ありません」


けど


ってまた言おうとした僕を敦史さんが遮る


「千秋、まだ気づいてねぇの?俺たちが千秋を束縛するんだよ」
「えっ……?」


2人が、僕を?


「ずっと家にいて、ずっとお前のそばにいる」
「千秋さん、もう千秋さんの失声症が再発することはありませんよ」
「俺たちが、守ってやるからな」
「!!」


ずっと家にいて、ずっとそばに
僕の声がなくなることのないように


「あーあー……また泣くんじゃねぇよ」
「ふふ、せっかく治ったのに。また泣かせてしまいましね」
「ちが……っ、これ、は……嬉し涙です……」


どうして2人はこんなに僕を喜ばせる術を知っているんだろう

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