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言葉で聞かせて

第1章 姉から突然の呼び出し

ソファにちょこん、と座った千秋……さん?を見てもやっぱり年上には見えなかった


特に手入れもされていないのにサラサラの黒髪は整髪料で整えられた形跡もない
それもまた幼く見える要因か?


「千秋は先ほど言ったとおり今年で25歳になる。職業は小説家。訳あって人と話せなくなってしまったんだけど、基本的なコミュニケーションに特に支障は無いから」


穏やかに話す博秋さんだが、俺としては不安しかない


「まだ知り合って間もないのにこんな事を頼むのは本当に申し訳ないんだけど……」
「いいのよ、博秋くん。あんた達、しっかり面倒見なさいよ」


俺は内心ため息をついた


なんでこう、こいつは自分勝手なんだ
でもまぁ、博秋さんに罪はねぇから

今回は仕方ない、か……?

まぁ、喋らねえってのは静かでいいかもな


俺が黙っていると悠史が穏やかに微笑んだ


「はい。よろしくお願いします、千秋さん」
「!」


悠史の挨拶に千秋は焦ったようにお辞儀をした


確かにコミュニケーションで問題はなさそうだ
色々考えるのも面倒くせえ

ほっといても死にゃしないんだろ
それにこういうのは悠史に任せるに限る


これから始まる同居生活に一抹の不安を感じはしたが、抗えないことには抗わない主義な俺はとにかく家には極力寄り付かねえと誓った

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