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蜘蛛と蝶〜囚われた蝶〜

第3章 蠍と蝶

リビングのソファに座り、蠍は私服のネクタイを緩めた。



ボタンも少し外して……できるだけ見ないように、妃奈はオレンジジュースに集中する。



「名前、教えてよ。不破は有名だから知ってるけど」

「天海妃奈です」



今はじめて蠍をまともに見た気がする。



綺麗な黒髪の少年。



それが妃奈の抱いた印象だった。



「綺麗だね」



ドキリとした。



丁度、今思っていた事を見抜かれた気がして。



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