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歌 DE 小説

第1章 秘蜜 ~黒の誓い~


「………」
目が覚めるとアリスから貰った部屋の天井だった。
窓を見ると、空は曇っていた。
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ…
「………」
昨日の雨と同様、時計の機械的で単調な音が心地良かった。
時計は五時を指していたが時間なんてどうでも良かった。
「………」
起き上がって足を垂らす状態でベットの端に座る。
友達。
アリスが発したその言葉…
思い出すと、アリスの周りに在る物全てが憎く、嫉妬の感情が生まれた。
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ…
心地良い筈の音が次第に不快感に変わっていく。
「うるさい…」
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ…
「うるさいって言ってるだろ…」
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ…
「うるさいんだよっ!!」
シエルは机に置かれていた銀のコップを時計に投げ付けた。
ガシャンと壊れる音。
心地良い…。
物が壊れる音が聴こえて駆けつけたのだろう。
扉が急に開いた。
「シエル!!ああ、良かった。目が覚めたのね…片付けは後で良いのでシエルに何か暖かい食べ物を…」
アリスが使用人に命じると、使用人達は一度お辞儀をして部屋を出た。
「シエル、あのねー!?」
アリスがシエルに振り向いた瞬間、シエルはアリスを抱き締めていた。
「シエル…?どうしたの?恐い夢でもみたの?」
アリスは戸惑いながらも優しさを出す。
「アリス…君を愛している…」
強くハッキリと伝わる様にシエルは囁いた。

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