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歌 DE 小説

第1章 秘蜜 ~黒の誓い~


「………」
アリスは理解が出来なかった。
今まで友達として関わっていただけなのに…
「君が欲しい…アリス…君が…」
アリスにキスをしようと顔を近付ける
「ーっ!いやっ!」
思わずシエルを突き放してしまった。
「アリス…聞いてくれ…僕はー」
「結婚するの!」
シエルの言葉を遮りアリスは言う
「え…」
「レオンがっ!私と結婚して欲しいって!」
シエルの心に嫉妬の様な悲しみの様な現せない感情が生まれる
それでもシエルは恐る恐る訊く
「それで…アリスは…」
「OKしたわ…シエルは…喜んでくれるわよね…?」
「…………」
何も言えなかった。
外は、シエルの心に呼応するかの様に雨が降り始める。
「さよなら…」
「え?…シエル!」
一言だけ残してシエルは家を飛び出た。






「……………」
雨に打たれながら、また町を彷徨う。
何処に行くでもなく、ただ彷徨った。
「……ふ…ふふふふ…」
口を閉ざしていたシエルは涙と雨を混ざらせながら笑い始める。
「あははは…あはっ…はははは…あっはははははははははははははっ!」
自身の惨めさが滑稽で仕方なかった。
辛くて…
苦しくて…
それでも、彼女が恋しかった。
「ははははははははは…ははは…は…ふっ…くぅ…」
笑いは消え、嗚咽が雨音に隠される。
「うぅ…うっ…く…ひくっ…」




好きで好きで好きで…



手に入れたくて…





彼女の世界を壊したくなった。



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