テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第21章 エリュシオン〜幸福者の国〜

(9)


昏倒したシンシアは医務室のベッドに寝かされていた



口周りの汚れも綺麗に拭かれている


あれから数時間後……



女医とハンセン艦長、ハンズィ隊長がその傍らに座っていた




「…こんなこと言ってアレだけど…

コイツも意外ともろかったんだな」



「いつもはパイロットの戦死には慣れてる顔してるくせにな…」


「まぁ、慣れてる奴なんて居ないけどな」


「当たり前でしょう!なに言ってんですか二人共」



「いやいや、わかってるって、でもそれぐらいコイツは芯が強かったんだ…」



「あんな強烈に動揺しちまうなんて」



「周りはナオトがうまくやったみたいな言い方をする奴も居たが…」



「……逆ですよ……、最初からこのコは彼にだけ打ち解けていましたから……」



「……夢中になっちまったのはコイツか」




「いや、我々が悪かったのかもしれん、

我々は彼女の強さに甘えてしまって、彼女を孤独な人間に仕立てあげてしまったのかもしれん

心の強さに強いも弱いもない

彼女はただ見せれなくなってしまったんだ」



「メンタルが心配です、たち直れますでしょうか…」




「立ち直ってもらわなきゃイカン!

我々が困るだけじゃない、彼女自身今後の人生の為にも…」



「ナオトよ…お前の罪はデカいぜ…」



「…とにかく、医療従事者としてこのコは覚醒後も長期の休養を進言します」



「わかってるよ、当然だ、私も鬼ではない

私たちはファミリーだからな

皆で助け合おう」


ハンセン艦長の言葉にハンズィも頷いた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ