浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第21章 エリュシオン〜幸福者の国〜
(10)
シンシアは何度か覚醒したものの
嘔吐を繰り返していた
女医は安定剤と点滴を投与させたため
数日間、ほぼ眠ったままだった
ようやく落ち着いてきたときには周りの変化を感じ取っていた
管理職の仕事もまわって来ず、報告も来ない
女医に聞くと副長のヴァイカートが隊長代理として第2中隊をまとめ、ベテランパイロットのピーヴィーが副長代理に就いたらしい
どうやら一時的な休養というわけではなさそうだ
ハンセン艦長もハンズィ隊長も顔を見せに来なかった
その後も嘔吐癖は治らず、
ときには高熱が数日間続いたり、
突然、原因不明の全身筋肉痛になったりと
シンシアの肉体は疲弊していった
医務室の入院スペースは奥の方に分けられており、誰とも会話をすることもない
点滴の交換なども女医が行い、外の情報がまったく入ってこなくなっていた…
あれから何日経ったのだろう…
睡眠薬や、体調の不具合で時間の感覚がまったくわからない
こんなにも自分は弱い人間だったのだな…
もう握力も……
少し身体を起こしただけで、頭がフラフラする…
眼球の疲労も凄いし、肌もボロボロだ
“こんなことではアイツに笑われるな…”
そう考えると
自然に涙がボロボロあふれ出してきた
咳をきったように一度あふれ出ると止まらなくなった
ウウウ……と嗚咽し続ける
そのタイミングで女医が点滴を交換しに入室してきた
わかっているが涙が止まらない
女医はハッと気づいて、シンシアに寄り添う
「…グ……、ウウ……、すまない先生…
ふぅ、こんなことではアイツに笑われると思ったら急に……」
「…そうね、彼も元気なアナタに会いたいはずよ…」
「…わかってる……はぁ…」
シンシアは何度か覚醒したものの
嘔吐を繰り返していた
女医は安定剤と点滴を投与させたため
数日間、ほぼ眠ったままだった
ようやく落ち着いてきたときには周りの変化を感じ取っていた
管理職の仕事もまわって来ず、報告も来ない
女医に聞くと副長のヴァイカートが隊長代理として第2中隊をまとめ、ベテランパイロットのピーヴィーが副長代理に就いたらしい
どうやら一時的な休養というわけではなさそうだ
ハンセン艦長もハンズィ隊長も顔を見せに来なかった
その後も嘔吐癖は治らず、
ときには高熱が数日間続いたり、
突然、原因不明の全身筋肉痛になったりと
シンシアの肉体は疲弊していった
医務室の入院スペースは奥の方に分けられており、誰とも会話をすることもない
点滴の交換なども女医が行い、外の情報がまったく入ってこなくなっていた…
あれから何日経ったのだろう…
睡眠薬や、体調の不具合で時間の感覚がまったくわからない
こんなにも自分は弱い人間だったのだな…
もう握力も……
少し身体を起こしただけで、頭がフラフラする…
眼球の疲労も凄いし、肌もボロボロだ
“こんなことではアイツに笑われるな…”
そう考えると
自然に涙がボロボロあふれ出してきた
咳をきったように一度あふれ出ると止まらなくなった
ウウウ……と嗚咽し続ける
そのタイミングで女医が点滴を交換しに入室してきた
わかっているが涙が止まらない
女医はハッと気づいて、シンシアに寄り添う
「…グ……、ウウ……、すまない先生…
ふぅ、こんなことではアイツに笑われると思ったら急に……」
「…そうね、彼も元気なアナタに会いたいはずよ…」
「…わかってる……はぁ…」