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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第5章 ~試験飛行~

ナオトは正式に試験運用部隊“キュールシュランク”に配属された

自分の機体“クラング<改>”はかつての機体ではなかった

上位新鋭機“ヴァルキューレ”の予備パーツと組み合わせ、不安定なハイブリッドマシンになっていた

帰投したナオトはすぐにシンシアに呼ばれパイロットルームに向かった

自分の機体を流し見しながら、真っ白に塗られたら余計に目立たないか?と不安に思った

以前の目立たないグレーの機体は全体をオフホワイトに塗られ、一部に赤いラインが走っている

これはシンシア“チームカラー”だろう


パイロットルームに入り、自分のロッカーからドリンクボトルを取り出して一気に飲んだ

オレンジの酸味が渇いた喉を通り抜ける

遅れてシンシア隊長が入室した
手にはメカニックチームから手渡されたデータレポートを持っていた

「加速はじゅうぶんだが、機体の安定が悪いな…グリップが軽すぎるんじゃないか?」

「はい…以前と違い過ぎてて…でも慣れます」

「調整が必要なら早めにメカニックに言え、自分用にカスタマイズするつもりで…ここは地上ガード部隊じゃない、生き延びるための試験だからな」

「わかりました!」

シンシアは上官なので威圧感ある口調だが、見た目の幼さにギャップを感じる

彼女はレポートをナオトに手渡し、自分もロッカーからボトルを取り出しながらパイロットスーツの上半身を脱いで腰穿きの状態になった

薄手のアンダーウェアが彼女のスレンダーさをさらけ出している

ナオトはレポートよりも上官の姿に注視してしまった

気づいたシンシアもきっと睨みつける

ナオトは慌ててレポートに目を落とした

シンシアはハァーッと深いため息をついてドリンクを飲み干した

「…スイマセン」

「…慣れてる」

ナオトは恐縮しながらレポートをチェックしていた

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