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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第5章 ~試験飛行~

ギュゥゥーーン!

急上昇する機体


バシュッ!

さらに急角度への移動


ナオトは凄まじい重圧に振り回されていた

「な…なんだよ、コイツッ!」

1ヵ月前まで自分の愛機だったとは思えない

加速、機動性、安定感が極端だ

「じゃじゃ馬めッ」

航空機のようなシルエットとモビルスーツの上半身を組み合わせたような飛行特化兵器“フリューゲル”シリーズ

地上ガード部隊で使われていた一般機“クラング”だったが、今はナオトの手に負えないモンスターのように感じた

側面のモニターから通信画像が入る

赤いパイロットスーツ、シンシア隊長だ

「スロットルは軽めでいい!グリップを安定させてから一気に踏み込め」

(か、簡単に言って…!!)

シンシアの指摘通り機体を安定させてから急加速を試みる

「このままクレーテストだ!1分以内に追いついて当ててみろ!射出ッ」

(はぁッ!なんでだよッ!機体ならしじゃなかったのかよッ)

モニターの上方に白いクレーを捉えた

ランダムに飛行する小さな標的はジグザグに向きを変えながら、あっという間に雲の中に入っていった

ナオトの機体はフルスロットルでそれを追う

従来の“クラング”では取り逃がしてしまいそうだが、かろうじて視認できる

(当たれッ!)

ナオトがトリガーを引くと同時に機体先端の放電装置が光った

雷電砲<ブリッツ>だ

カッ、と稲光りを発した閃光は凄まじい勢いでクレーを瞬間的に蒸発させた!

(うぉぉ…すげぇ!)

この兵器も地上ガード部隊には無かったものだ

隠密行動を取っているこの部隊ならではの試験運用だろう

再び側面にシンシアの顔が表示される

「上出来だ…よく捕捉できたな、…しかし<ブリッツ>使用後すぐに回避行動をとらないとお前が標的にされるぞ」

「はいッ!」

ナオトは少しムッとしながらもすぐに返礼した

「帰投する!」

「帰投します!」

2機のフリューゲルは雲の中を滑空していった

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