テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第29章 インド編③アニーカ・カリード 〜闇と孤独〜

(1)

医務室のベッドで横たわっていたソニア


まわりが慌ただしくなったのを感じて、あぁまた僚機に被害があったのか、と察した


カーテンで仕切られているので音と声だけが聴こえる



“……なんだ、ヴァイカートか、アイツもヤラれちゃったのか……

でも担架で運ばれてきたわけでも無さそうだな

自力で歩いて部屋に入って来たのなら腕か、顔でも打ち付けたんだろう……”



ソニアは自分だけベッドに横たわっているのが悔しかった



「……誰か居てるのか? なんだソニアか」


「いきなり開ける奴がいるかよッ!着替えてたらどうするんだよ!」


「せっかく医務室に来たんだし、ちょっとサボらせてもらおうと思ったんだが、先客が居たか」


「……サボってないッ!」



そんな痴話喧嘩のようなやりとりを2人がしていると、何人もの大人数が医務室に入ってきた



見知らぬ女性が数人混ざっている


エキゾチックな顔立ち

目元がパッチリとしたキュートな雰囲気だが、若かったらもっと可愛いかったのだろうな、とヴァイカートは思った


3人の女性はパイロットスーツのままだが、ヘルメットは外し、代わりに布を頭に巻いていた


廊下からラルフの声がする


「ヴァイカート!居るんだろ? 出ろ!

 警備は女性に任せて、ヤローどもは部屋から出ろ!」



「……なんだよ、ラルフのやつ…、ああ、新参者の検査か?」


ヴァイカートが部屋を出て、3人のパイロットと、4人の女性兵士、そして女医が部屋に残った


パイロットのひとりが奥のベッドに目を向けた


ソニアと目が合う


女医はひとりづつ簡単な身体検査と簡易的な診察をした


「検査は形式的なものだから…、これが終わったら食堂でゆっくりして行ってね
 そのあいだにアナタたちの部屋の用意をさせるから」


「助かります、我々も連日戦場だったので少し気が休まります」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ