テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

(1)

浮遊空母キュール・シュランクの格納庫


メカニックマンのマーカスの声が響く

「おおーい! そこの部品どけとけって言っただろーー! すぐにミデア・ノイが入ってくるぞーー!」


間もなくして前部ハッチから輸送機ミデア・ノイが数機到着した

遠くの壁面に固定され整備されているのはアニーカ・カリードの機体〈プラガーシュ〉だ


プラガーシュは外部装甲のいくつかを開放露出させて定期的な整備をしていた

輸送機の光景を眺めながらアニーカ・カリードは整備を手伝っていたタオに声をかけた


「なんだい?あの輸送機……、モビルスーツかフリューゲルでも積んでるのかい?」


「確かに増援の予定はあるけど…、アレは海水じゃない? 濾過して使う水よ、飲用には使えないけどね、洗浄やシャワーでも使うし、冷却装置にも使うのよ」


「……そうなんだ、水ってここでは貴重なんだね、アブドゥラは山間部に有ったから特に困らなかったからなぁ…」


「飲料水は近くの基地から運んでるのよ、…シンガポールは島国だから今はマレーシアから運んできたのね、でもそれだけでは足らないから、海水を吸い上げて、濾過して使うの」


二人が話しをしているときにハッチ出入り口の付近を民間のシャトルが横切った


「?……あれは?」

「あれは“お客さん”よ」

「お客さん?」

「ここの基地は軍事施設だけでなく、宇宙用シャトルのプラットフォームにもなってるの

 後部ハッチと甲板を使って、ちょっとした宇宙航路向けの離発着場に貸し出しているのよ

 地上基地や地上空港からのシャトルもあるけど戦争でだいぶ被害を受けたでしょう?

 以前は大型輸送機のガルダ級が行っていたインフラを、今はここがその役目を兼任してるの」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ